ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
* * *
お皿の上で見た第一印象は「お前、そこで何してんの?」でした。だって花ですよ。菜の花って、幼稚園ぐらいのときに「お花だね~」なんて言って指さす対象だったじゃないですか。いや、かわいそうとかじゃないんです。「花は見るもので、食べなくていいだろ? ひまわりとか、食わねぇべ?」っていう違和感がぬぐえなくて、ずっと食べず嫌いだったんです。
今思うと、「花は食べちゃダメ!」っていう先入観だったんでしょうね。だから、頭の中でイメージが膨らんじゃって。まずは花の匂いがくるんだろうなとか、味はピリッと辛いのかなとか。
10代後半ぐらいのころに、色んな食べず嫌いを克服したくなった時期があって、食べてみたんですけどね。「なぁんだ」って思いました。匂いも味も、普通に野菜なんだなぁと。ルックスが派手な割には、オーソドックス。そんなギャップに萌えることもあるんでしょうけど、残念ながら萌えにも至らず。今もそんなに好きではないです。出てくれば食べるんですが、いまだに「俺今、花食べてる……」と心のどこかで思っています。
※AERA 2019年3月18日号