レーダー照射問題や「徴用工」問題など、ここのところ日韓関係を悪化させる問題が立て続けに起こっている。日本では「韓国たたき」をするメディアもあったが、一方で、韓国の日本に対する報道はそこまで過熱していないようだ。
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「韓国恥さらし」「虚言韓国にトドメ」「敵国認定必至」「韓国乱心」「日韓断絶」……。
これらはタブロイド紙の「夕刊フジ」が最近1面で打ち出した見出しの一部だ。昨年12月20日に起きた韓国海軍による自衛隊機へのレーダー照射問題以来約2カ月にわたり、ほぼ連日「韓国たたき」の1面見出しを続けている。
東京の大手情報通信会社で働く韓国人男性(37)は、会社の最寄り駅で目にするこれらの見出しを冷静に受け止めているという。
「そもそも、韓国人に韓国のことが好きかと聞いても、当然、好きな部分もあるし嫌いな部分もあると答える。日本に対しても同じです。独島(竹島)という領土問題、従軍慰安婦などの歴史問題。これらの課題について韓国と日本は歩み寄るのは難しいが、国と国との関係はそのようなもの」
韓国人の多くは、政治的には日本に不満があると男性は言う。
「日本に『韓国疲れ』という言葉があるように、韓国には『日本疲れ』という言葉がある。歴史問題について日本は『韓国はいつまでも文句を言う』と感じているが、韓国は『いつになっても日本は謝らない』と思っている。それでも、決して日韓は断交したらいいなどとは思ってはいない。一方で、過去の歴史に対し真摯な態度を示さない今の安倍政権下では、両国の友好を育むのは難しいと多くの韓国人が考えています」
韓国で、旅行先としての日本はむしろアジア圏の中で最も人気があるという。
日本政府観光局によると、韓国人の訪日数は2012年以来、7年連続で増加している。19年1月の最新調査こそ77万9400人で、1月の単月として過去最高だった前年同月より3%少なかったが、18年の1年間で見ると前年比5.6%増の753万9千人が日本を訪れた。韓国人にとって日本は、日韓の政治関係が冷え込んだとしても、近くて手頃な旅行先として定着しているのだ。