全国でもまれな保守3分裂で揺れる徳島県知事選。メディアの情勢調査でも保守候補3人の大接戦という情勢が見えてきている。地元では、最後の決め手は、あの女性の登場ではないか、とささやかれる。
徳島県知事選では、現職で6期目を狙う飯泉嘉門氏(62)を自民党徳島県連が推薦。これに対して、自民党の衆院議員を8期務めた後藤田正純氏(53)や自民党の参院議員を2期務めた三木亨氏(55)も出馬し、保守三つ巴となっている。共産党も古田元則氏(75)を擁立している。
自民党県連に推薦願を出したのは、飯泉氏と三木氏だった。
「最終的には推薦を飯泉氏に出しました。しかし、実際に飯泉氏を応援している自民党県議は22人中、半分ほどです。残りは三木氏にいったり、静観を決め込んだりしている。後藤田氏を表立って支持するという県議はいません」(自民党県議)
前回2019年の知事選で、後藤田氏は県連が推す飯泉氏の多選を批判し、新顔候補を応援、県連と対立した。飯泉氏が5選を果たした後も県連と後藤田氏の確執は続き、今回の知事選の候補推薦にあたって県連内部では、
「“後藤田知事”だけは避けたい」という声が出ていたという。
朝日新聞や読売新聞が行った情勢調査では、知名度が高い後藤田氏がやや優勢だが保守3候補が僅差、あるいは激しく競り合うと伝えられた。まだまだどう転ぶかわからない状況だ。
そこで注目されているのが後藤田氏の妻、女優の水野真紀さんの登場だという。
真紀さんは、かつての後藤田氏の衆院選では応援に姿を見せ、夫への支持を訴えた。
筆者は、自民党が大敗し、民主党(当時)に政権交代をした2009年の衆院選で、後藤田氏が地盤の旧徳島3区を取材した。人だかりを見つけて後藤田氏がいるのかと思って近づくと、聴衆が握手を求めて殺到していたのは真紀さんだった、ということが何度もあった。
「真紀さんを見たくて来た。女優さんが目の前にいてうれしいよ」
という有権者もいたほどだ。そして、自民への逆風が吹き荒れるこの選挙戦でも後藤田氏は民主党候補を僅差で破って当選を果たした。