藤井:親の実家が岡山県津山市の農家なんですけど、田んぼに太陽光パネルが並ぶ光景を見るようになりました。しかし、地元でその電気を活用する発想はあまりない。ノンネイティブと提携している広島県福山市の縫製工場も、毎月数百万円の電気を消費しているのに周辺の太陽光発電の電気を使っていません。
大石:エコを推奨しているタレントさんも「プラスチックストローはやめるべきだ」とおっしゃるけど、「電気もエコですか」と尋ねると、「それは考えたことがなかった」と。だいたい皆さんそういう感じ。コンセントの向こうがどこにつながっているかなんて、これまで考えたこともなかった方がほとんどです。
藤井:僕は、エコとかオーガニックとか言っておけばいいみたいな風潮に飽き飽きしています。大量生産されたエコバッグって全然エコじゃない。処分するにもコストがかかりますから。服って最後は燃やすしかないので結局、産業廃棄物として捨てられるんです。それが公害や温暖化につながる。リサイクルショップにも商品があふれています。服がつくられ過ぎているんですね。だから僕は日本製にこだわり、ボロボロになっても飽きることなく着たいと思ってもらえる服づくりを目指しています。
大石:電力自由化から2年半になりますが、藤井さんのように電力を切り替えたのは国民の約1割に過ぎません。アップルやグーグルなど世界のリーディングカンパニーは再エネを当然のように選んでいるのですが。
藤井:「自由化」という表現がよくないのかもしれません。小学校の「自由研究」って、みんな後回しにするじゃないですか? 日本人は「自由にしていいよ」と言われると選べなくなる。ファッションもみんなが着ている流行ものが好きですし。ファッションって電気と違って生活していく上で不可欠なものではない。でも、何でも身に着ければよいというわけではない、と考える人がファッションにこだわるんです。電気も同じで、「こういう電気だといいね」というブランドが確立されれば選択する人はもっと増えるはずです。
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2019年1月21号より抜粋
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