大阪府が4月9日投開票の知事選の真っ最中に、福祉事業関係者ら38万人にそれぞれ1万円分のギフトカードを配っていた。配布されたものに吉村洋文知事の名前こそ出してはいないが、SNSでは吉村知事への感謝の言葉があがっている。投票行動に影響を与える恐れはないのか。専門家は「脱法的と言われても仕方ない取り組み」との見方を示している。
【写真】実際に配られた「もずやん」と1万円分のギフトカードはコチラ
* * *
<ギフトカード届きました有り難う、吉村知事>
<このタイミングなので吉村さんの政治的意図を感じつつも嬉しい>
ギフトカードが届いたという人がSNS上に、ギフトカードの写真とともに、吉村知事への賛辞の声を上げていた。
写真を見ると、1千円の「JCB GIFT CARD」が10枚、計1万円分ある。
ギフトカードとともに、広報担当副知事のマスコットキャラクター「もずやん」の名前で案内の紙がついており、「大阪府より従事者の皆様へ」と題してこんな記述がある。
「皆様には、新型コロナウイルス感染症への対応等、利用者の安全・安心を守るべき、献身的に日々のお仕事に従事いただきありがとうございます。皆様に感謝の意を込めまして、ここに1万円分のギフトカードをお送りします」
これは、新型コロナの第6波、第7波などで社会福祉施設で感染者が増え、業務の従事者の負担が増したことを踏まえ、1万円相当のギフトカードを配布するという事業だ。
対象者は介護施設や児童福祉施設などで、2022年4月1日~23年1月1日に10日以上勤務し、利用者らと1日以上接する業務をしていた人となっている。派遣、委託、退職者も対象になる。公務員は含まれない。
申請の受付期間は1月17日~2月15日。ギフトカードの支給終了は3月31日までとなっている。施設、事業所などを通じて支給する。
事業費は、昨年12月に補正予算で計上され、50.6億円。そのうち支給費が46億円となっている。最大で46万人が対象と見積もっているということだ。補正予算は12月20日、維新、公明、自民、共産などの賛成多数で可決、成立している。