これは民間についても言えることですが、どうして日本人はレッドオーシャンばかりを目指し、誰もやったことがないブルーオーシャンに出て行こうとしないのか、不思議でなりません。我々が岩手県紫波町のオガールプロジェクトでバレーボール専用体育館を造ったときも、「こんな前例のないものに税金を使うな」と言われ、「自腹です」と答えると「お前らは本当にばかか、しろーとか」と散々馬鹿にされ、賛成してくれたのはオガールの実績を見て融資してくれた東北銀行だけ。

 結果は初年度から5年連続黒字、全日本チームやVリーグのチームが頻繁に合宿に訪れ、今年9~10月の世界バレーではカナダのナショナルチームが合宿、東京オリンピックも海外チームの招致活動中ですが、多分いけるでしょう。紫波町はバレーボールの聖地になりつつあるのです。

 我々は成功を確信していましたが、最大の成功要因は「誰もやっていなかった」市場だから独占できた、ということに過ぎません。バレーボール自体は新しいスポーツでも何でもないのに、誰もやっていないからこそチャンスだと考えるやつがいなかっただけのことなのです。

AERA 2018年12月10日号

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ぐっちー

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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中

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