

タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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かねて不思議なのだけど、どうして日本ではこんなに血液型性格分類が人気、というか広く信じられているのでしょう。かなり分別のある人でもこれだけは無邪気に信じていて「小島さん、Bでしょ?だと思った、同じ匂いがするもん」などと言われて驚くことがあります。いやそれ、迷信ですから! 科学的根拠もないし、なんなら偏見で大迷惑している人もいます。AB型とかB型とかね。
先日、発達障害について話している時に、ある人が「自分は発達障害と診断されたんだけど、うちは家族全員B型だからみんな個性的なんだと思っていた」と言ってみんなを笑わせました。おおっとー、気持ちはわかるが、それはだなあ……。
たぶん、発達障害に対する「なんか危ない人」などのネガティブな偏見を払拭しようと、あくまで個性の一つですよと言いたかったのだと思います(これにも異論はあるかもしれないけど)。でもそのために「B型は個性的」という迷信を強化してしまったら、プラマイゼロっていうか、B型の私としてはむしろマイナスです……。
もうほんとに、これまでどれほどめんどくさい思いをしてきたか。わがままとか強烈とか変人とかね、仮に実際それが私の特徴であったとしてもだな、決して血液由来ではないのですよ。新聞記事で誰かのプロフィルの最後に唐突に「血液型A」とかあるのも意味不明です。ならいっそ、耳垢が湿っているか乾いているかも書いておいたらどうでしょう。
私の友人には、RhマイナスB型と同O型の人がいます。前者は日本人の1千人に1人、後者は1千人に1.5人の確率ですから超少数派。ってことを日本赤十字社のホームページを検索して確認したら、案の定「Rhマイナス 性格」でググっている輩がおるではないか。だからやめえ! 私の友人は2人とも別にぶっ飛んでもいないし超性格悪かったりもしないぞ。
繰り返しますが、血液型性格分類は、迷信です。もういい加減、忘れましょう。
※AERA 2018年12月10日号