ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
【写真】Zeebraが「こいつがいればどうにかなる」と思う野菜は…
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タマネギをみじん切りするのが好きです。まずピシャッと半分に切って、端からカッカッカッカッと進んでいく。層が崩れないように、慎重に、どこまで行けるか。楽しくて、はまる。そして、熱した油に入れた瞬間の音と香り。幸せを感じます。切って炒める一連の作業が料理のスタート地点。すごい確率でいろんな料理に入っていますから、どんな料理もここから始まるという感じがします。
ちょっと困るのはその前で、あれってどこまでが皮なんでしょうか。ペロッとむいたのに、まだうっすらとオレンジがかっていたりして、お前はアリなのか、ナシなのかとしばし悩んでしまう。ナシのところは、いくら熱を加えてもなんとなく紙っぽさが残って、全体の和を乱すんですよ。
本格的な料理だけじゃなく、既製品のパスタソースやスープに足すだけで手作りの味になる。主役も張れるし、縁の下の力持ちにもなれる。こいつがいればどうにかなるという安心感があります。炒めてあめ色にするのに時間がかかるので、イラついている時はちょっと付き合いづらいけどね。
※AERA 2018年12月3日号