ママ一人で子どもの世話をする「ワンオペ育児」が問題になっています。日々母親たちと接している「さくらが丘小児科クリニック」(東京)の小児科医、の森戸やすみ先生にこの問題の背景に何があるかを聞きました。9月10日発売のアエラムック「AERA with Baby スペシャル保存版 母子ふたりきりって大変!」からお届けします。
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2児の母でもある小児科医の森戸やすみ先生は、ワンオペ育児をどう感じているのでしょうか。
「日本は高度経済成長期からずっとワンオペ育児でしたが、共働き世帯が増えたことで、なぜ母親ばかり育児をするのか疑問に感じはじめたのだと思います。むしろ、育児に積極的なお父さんは、以前よりも増えてきています」
それでも、夫が協力してくれないと感じる人は多数。夫婦間のギャップはいったい何なのか……。
「男性は父親になったことをしばらくたって実感するといわれますが、女性だってそうです。出産したからといって、育児の知識と技術が天から降ってくるわけではありません。それなのに父親は母親ならすべてを知っているかのように質問してきます。一緒に学んでいってほしいですよね」
一般的に、父親は母親に比べて、子どもの不慮の事故に対する知識や認識が低いのだとか。子どもから目を離してしまうこともあり「それなら、もう私がやる!」とママは諦めてしまうのです。
森戸先生いわく、ママは子どもの病気やケガを“自分のせい”と感じてしまいがち。当たり前ですが、子どもの責任は父親・母親ともに負っています。「まず、お母さん自身が、自分を責めるのをやめてください」と訴えます。
ママを悩ませるのが、ウソかホントかわからない育児情報の数々。「まったく医学的根拠のない都市伝説もありますから、気にしすぎないで」と森戸先生は言います。
「3歳児神話(3歳までは家庭で母親が育てないと成長に悪影響を及ぼす)は、厚生労働省が“合理的な根拠は認められない”と否定しています。母乳神話も根強いですが、甘い物を食べたから母乳が出ない、なんてことはありません」