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
短時間に膨大な雨量をもたらす、ゲリラ豪雨。この夏、都内ではこのゲリラ豪雨による浸水被害もあった。都内の浸水の危険地域は、どんなところにあるのだろうか。東京23区の「リアルタイム浸水予測」の開発を行う早稲田大学理工学術院の関根正人教授(都市水防災工学)に聞いた。
23区全域でゲリラ豪雨による浸水被害のリスクが高いエリアはどこなのか。
関根教授によると、ピンポイントでリスクが高いのは、「谷状の凹部地形の地点」と「道路が鉄道の下をくぐるように延びているアンダーパスの地点」だ。前者は、渋谷駅前や溜池、日比谷の交差点など。これらの地点は周辺に降った雨が流れ下って集まるため、特に深刻な浸水被害をもたらす恐れがあるという。後者は、首都高速の高架をくぐる渋谷駅近くの国道246号や、新宿駅の新宿大ガード(青梅街道架道橋)付近が代表例だ。
関根教授がもう一つ、リスクを指摘するのは地下街だ。都心部には地下鉄が縦横に延び、駅と地上をつなぐ連絡口は1千を超える。連絡口からの水の流入を防ぐことができなければ甚大な「地下浸水」が発生する。
「特に危険なのは溜池交差点付近の地下鉄連絡口です。このあたりは地上でたびたび浸水を繰り返している谷部なので、よほど気を付けないといけない。ここには、溜池山王駅の連絡口が複数あります」(関根教授)
東京メトロは、浸水の恐れのある駅の連絡口に止水板や防水扉の設置を進めている。ただ、防水扉も普段は開放されており、浸水のリスクが迫るタイミングに遅滞なく対応できるか、といった人的要素も課題となる。
こうした浸水被害対策の決め手として期待されるのが、23区対象のリアルタイム浸水予測だ。全ての下水道内の水の流れも計算に含まれているため、例えば30分後に具体的にどの交差点で冠水するのか、いつどこでマンホールから水が噴き出すのかも推定できる。このため、通行止めや防水扉を閉じる判断も容易に下せるようになる。
関根教授が取り組んできたこのシステムは国と連携し、急ピッチで実用化が進む。江戸川、葛飾、墨田、江東、足立の各区は今秋をめどに、来夏までには全23区を対象に試験運用に入る計画で、20年の東京五輪開催時の全面運用が目標という。関根教授はこう強調する。
「上手に活用してもらうには、自分が住む地域にどういうリスクが潜んでいるのか平時から知っておくことに加え、どの情報にアプローチすればよいのか認知してもらうことが重要です。活用してもらってこそ初めて減災効果が発揮されます」
(編集部・渡辺豪、中島晶子)
※AERA 2018年9月10日号より抜粋
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