仮面ライダーは世界征服をもくろむ悪の組織ショッカーに改造人間にされてしまった主人公が、その傷と悲しみを仮面で隠し人々の平和を守るために戦う、石ノ森章太郎原作のヒーローだ。1971年に毎日放送で始まった特撮テレビドラマは大ヒットし、国民的なヒーローとなった。しかし88年に始まった「仮面ライダーBLACK RX」を最後に、テレビからは姿を消した。ここまでのライダーを“昭和ライダー”と呼ぶ。
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翻って“平成ライダー”とは、2000年に蘇った「仮面ライダークウガ」以降の仮面ライダーのことだ。プロデューサーとして数多くの作品を手掛け、“平成ライダー育ての親”と言われる東映取締役でテレビ第二営業部長の白倉伸一郎さんは復活の経緯を振り返る。
「90年代、仮面ライダーは古臭いと思われていたコンテンツでした。東映から毎日放送さんに、もう一回ライダーをやりましょう、と何度投げかけてもいい返事は得られず……ってもう時効ですよね(笑)。一方でうちはテレビ朝日さんの日曜朝の枠があった。そこで過去ヒットした作品のリメイク『燃えろ!!ロボコン』をやったらとても好調だったんです。『ロボコン』は石ノ森章太郎原作ですから、その路線を続けようとなって仮面ライダーが復活した。でも当時はライダーがこれからの時代を牽引するとは誰も思っていませんでした」
そんな流れのなかで誕生したのが「仮面ライダークウガ」だった。メインターゲットは4歳から12歳くらいまでの少年と、昭和ライダーを見て育ったお父さんの2世代。改造人間という設定は臓器移植を受けた人に配慮して廃され、冒険家の主人公が古代遺跡から発掘された変身ベルトによってクウガとなり、古代から人類を標的に殺人ゲームをしている残虐なグロンギ族と戦う姿を描いた。事件を追う警察と連携したり、ライダーも怪人も「未確認生命体」と呼ばれるなど、昭和ライダーにはないリアルな世界観は、親子だけでなくサブカル層も取り込んで大きな話題となり、視聴率は平均9.7%(最高11.8%)、キャラクター商品売上高は118億円と予想を超えるヒットになった。その勢いのまま作られたのがライダー初の群像劇「仮面ライダーアギト」だ。3人の主人公が悩み成長する物語で、視聴率は平均11.7%(最高13.9%)と前作を上回る。