しかし、この2作をもって仮面ライダーは幕を引くつもりだった。白倉さんは言う。

「どれだけ当たっても3年やると飽きられる“3年周期説”があるんです。石ノ森シリーズはもう3作品作ったので、新しい何かを作るつもりでした」

 ところが次の作品の企画会議中にアメリカ同時多発テロが起こった。白倉さんは続ける。

「テレビ朝日さんから『今こそ子どもたちに正義を教えたい』というお題を出されて……参ったなと。正義は難しいんです。見ている子どもは自分=ヒーロー。安易にヒーロー=正義と描くと、自分=正義となって、それは自分だから正しい、自分じゃないから間違っているという勝手な考えを誘発する。特に石ノ森先生はそれを危惧していて、自分だから正義なんだ、という描き方は絶対にしなかった」

(ライター・大道絵里子)

AERA 2018年8月13-20日合併号より抜粋

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