御年84。この本の出版を、どう感じているのだろう。
「愛しいですね。この年で、思いがけず末っ子が生まれた気持ち(笑)。戦争や映画で経験してきたことを後の世代に伝えたい気持ちはあったんです。そこに、のむみちさんが天使みたいにすーっと現れてカタチにしてしまいました」
語りの魅力のほか、時代考証や写真をはじめ資料の充実ぶりには目を見張るものがある。日本映画がどんな道を通ってきたか、宝田明というスターの姿を通して鮮明に伝わってくる傑作である。
(ライター・北條一浩)
AERA 2018年7月2日号