清水建設以外の大手ゼネコンも近年、建設ロボットの開発に力を入れている。建設業界の技能労働者は極端に高齢化しており、現在70歳前後の団塊世代が今も重要な担い手だ。この世代が今後10年の間に大量離職することで、人手不足が深刻化するとみられている。
建設の現場は収入や休日が少ないといったイメージが強く、若い世代から敬遠されがちだ。一方、震災復興やオリンピック関連の事業などで需要は高まり、担い手不足の危機が一気に顕在化した。
業界団体の日本建設業連合会(日建連)は15年3月、「建設業の長期ビジョン」を発表。25年度までに団塊世代ら約128万人もの離職者が見込まれるため、(1)90万人の若手確保を目標に総合的な処遇改善を進める(2)生産性を高め、35万人の省人化を達成する──という目標を掲げた。ロボット化は、省人化の核となる戦略だ。
清水建設のロボットは、それぞれの作業で人手を約80%減らす効果がある。印藤正裕・生産技術本部長は「まず負担軽減を望む声が多い作業から導入し、他の作業にも広げていく」と話す。(ライター・まつざきみわこ)
※AERA 6月4日号