清水建設が報道陣に公開した、パネルを天井に張る「ロボ・バディー」(撮影/写真部・大野洋介)
清水建設が報道陣に公開した、パネルを天井に張る「ロボ・バディー」(撮影/写真部・大野洋介)
職人が休んでいる間に資材を運ぶ「ロボ・キャリア」(撮影/写真部・大野洋介)
職人が休んでいる間に資材を運ぶ「ロボ・キャリア」(撮影/写真部・大野洋介)
自動で溶接する「ロボ・ウェルダー」(撮影/写真部・大野洋介)
自動で溶接する「ロボ・ウェルダー」(撮影/写真部・大野洋介)

 重い資材を運び、鉄骨を溶接し、天井にボードを取りつける──。そんな苦しい作業の繰り返しから建設現場の職人たちを救う「相棒」が誕生した。現場で仲間のように働く建設ロボットたちだ。

【写真】職人が休んでいる間に資材を運ぶ「ロボ・キャリア」

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 大手ゼネコンの清水建設は4月23日、新たなロボットを報道陣にお披露目した。2本の腕で天井や床にボードを張る「ロボ・バディー」、エレベーターに乗ることもできる資材運搬ロボット「ロボ・キャリア」、そして、2台で協力しながら柱の溶接を自動で行う「ロボ・ウェルダー」の3種類だ。

 同社は2016年から10億円超を投じ、これらのロボットと現場の人間が協力して作業を進める建築システム「シミズスマートサイト」を開発してきた。海外の大学などとも協力し、1年半余りで基礎開発を完了させた。6月から東京の現場でロボ・キャリアの試運転を始め、秋には新システム全体を実際の現場に投入する予定だという。

 ロボットたちはコンパクトで、動き方はどこかユニーク。正確に作業をこなせる能力はもちろん、仕事の「相棒」として職人たちから愛される素質まで感じさせる。

 天井を張る「バディー」はまず作業場所の真下に移動し、対象物までの距離を測りながら片腕でボードを固定。もう一方のアームが踊るようにボードとの角度を変えながら、ミリ単位の精度でビスを取りつけていく。

「ウェルダー」は溶接が必要な場所の形を計測し、自分で溶接の仕方を考えながら作業する。2台のロボが鉄骨柱を中心に、向き合いながら作業する姿は、まるでキツツキのつがいのようだ。

 運搬ロボットの「キャリア」が活躍するのは、夜間など職人たちが休んでいる時間帯だ。次の作業に必要な材料を見つけて積み込み、自分でエレベーターに乗りこんで、階を行き来しながらその材料が必要な場所に移動させる。現場に戻ってきた作業員は、すぐに仕事に取り掛かれる。

 そんなロボットたちを最大8千台、全国100の現場を通じて管理できるのが、統合管理システムの「ロボ・マスター」だ。現場の係員は、iPadで必要な作業を登録するだけ。あとは「マスター」がロボットに具体的な指示を出してくれる。

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