水は1~2リットル、食料は、行動1時間あたり100~200キロカロリーが目安。板チョコ1枚が300キロカロリー前後、スナック菓子1袋が500キロカロリー前後だ。
「おすすめはゼリー飲料。おにぎり1個分程度のカロリーがありますし、暑い日やバテているときでもノドを通りやすい」
日常の延長で山に登ろうとすると、つい頼りにしたくなるのがスマートフォンの地図だ。だが、グーグルマップや、アップルのマップアプリなどの地図アプリには通常、登山道はほとんど表示されない。
例えば、東京都奥多摩の大岳山(1266メートル)。「日本二百名山」や「花の百名山」にも数えられる人気の山だが、地図アプリを拡大してみても、山頂と山頂近くの神社などが描かれているだけで、登山道などの記載はない。
山岳遭難でもっとも多いのが「道迷い」で、16年の全遭難のうち4割近くを占めた。目に見えるケガを負ったわけではなくても、現在地を見失い、行動不能となって救助要請をする例が多い。正しいルートを捜し求めるうち、さらに重大な事故を引き起こすこともある。
実は、道に迷う危険は、低い山ほど大きいと石丸さんは言う。
「低い山ほど、道は複雑です。里山のような人の暮らしと近い山は、登山道のほかに林道や作業道が無数に走っています。これらの道に迷い込み、現在地がわからなくなってしまうのです」
東京都や神奈川県、兵庫県といった、高山を有しない地域でも遭難が多発している。人気ハイキングコースの東京・高尾山でも、警視庁高尾署に置かれた山岳救助隊の去年の出動回数は109回に及ぶ。
「登山専用の地図はもちろん、簡易的なハイキングマップでも、登山道やチェックポイントはきちんと描かれていることが多い。地図を用意してポイントごとに現在地を確認しながら歩くだけで、道迷いの危険はグッと小さくなります」。少しでもおかしいと感じたら、自分の位置がはっきりとわかるポイントまで引き返すことが大切という。
もう一つ、何より大切な「鉄則」がある。明るいうちに下山することだ。
日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド(ステージII)の水野隆信さんは、「15時までに下山できるように計画してほしい」と話す。