コミュニケーションの重要性とは…(※写真はイメージ)
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「女子会でセックスの話をすることもありますが『彼氏が○○してくれない』と、主語が男性なんですよね。自分の性のことはあまり話さない。自分の性器を見たことがある女性も少ないんじゃないでしょうか」

 そう語る女性用のセルフプレジャーグッズ「iroha」の開発を担当する「TENGA」広報の工藤まおりさんには、苦い思い出がある。幼い頃、自分の性器をいじっていたところを親からきつく注意された。なぜダメなのか。正確に答えてもらえず、抑圧された思いを引きずって生きてきた。

「同じ思いで苦しむ人をなくしたい」。工藤さんが時に素顔をさらして性について発信を続けるのには、そんな思いがある。

「性的なことが好きでも嫌いでもいい。でも性は自然なもの。過度にタブー視しないでいいんじゃないかと伝えていきたい」

 工藤さんはそう語る。

 世代によって性の開放度は移り変わる。「子どもに呪いを押し付けないほうがいい」と語るのは、ライター兼絵描きの吉田潮さん。1990年代後半、女性誌の編集者をしていた吉田さんは、エロの移り変わりを肌で感じてきた。当時「an・an」のセックス特集を皮切りに各女性誌でエロ花盛り……だったものの、内容は自身の快楽よりも、男性をどうもてなすかが中心。「女性が自分の快楽を求めよう」といった雑誌も登場したが、まだ下火だった。

 この頃の吉田さんは「性の快楽が優先順位ナンバーワン」。カップル喫茶やハプニングバーに通った話を女性の友人にすると、

「私には無理だけど、そこまで振り切れたら楽しそう」という意見と、「頭おかしいんじゃないの」と激しく拒絶する2パターンの反応があったという。

 しかし、2000年代以降、エロを語ること自体タブー視され始め、後者が大半を占めるように。女性主体のエロスを扱う女性誌も、いつの間にか消えた。

「感覚値ですが、20年周期くらいで移り変わっているのかも。今は、奪われたり提供したりでなく『私の快楽はどこにあるか』という主体性のあるエロを、自分の速度で見つめられる、いい時代になってきたと思います」

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