それだけじゃない。双児は声をかけられることが多い。主に午前中の住宅街は足腰の丈夫な老人がウヨウヨいて、「あら、可愛い、女の子?」なんて具合に。こちらも時間がある時だったらいい。でもそうとは限らない。
向こうサイドは日向、ベビーカーサイドが日陰だったりしてもお構いなし。マイペースに会話は続けられる。
双児にリードをつけることも検討しているが、「なんて可哀想な!」とお叱りを受ける事例が後を絶たないらしい。1人で2人を見るということはいわば“テトリスの終盤”なのはわかってほしい。
つまり、面倒くさいのだ。
イクメンが当たり前のこの時代、「面倒くさい」ということが言えないのが苦しい。
クタクタになって帰宅、双児が足にまとわりついてくる。無下にもできないので抱き上げる。その時彼らから香るあの子供独特の甘い匂い。一瞬にして「ま、いいか」となる。ズルイ。でも、それだけは真実なのかもしれない。
※AERA 2018年4月30日-5月7日合併号