

森友学園への国有地売却をめぐる財務省の決裁文書改竄問題が発覚した後、財務省近畿財務局の男性が自殺した。男性の人柄や、当時の彼のおかれた状況、そして自殺の背景にあるものについて、周囲の人々に話を聞いた。
神戸市灘区の高台に立つマンションからは海がよく見えた。周囲には六甲山の木立が広がる緑豊かな場所でもある。建物の設計は建築家の安藤忠雄。新築では手が届かなかったが、中古物件になり手に入れた。
3月7日、そんな憧れのマイホームで、財務省近畿財務局の上席国有財産管理官の男性(享年55)は自ら命を絶った。近畿財務局の関係者はこう話す。
「(男性は)2016年7月の人事異動で森友学園の担当になった。昨年2月から国会で国有地売買が問題になり、月100時間近い残業が続いていた」
心と体を壊し、男性は昨秋から約半年間、休職していた。
「昨夏の定期異動の希望がかなわなかったことにショックを受けていたが、復帰を目指していた。そんななか、文書改竄疑惑が報じられたのです」(同前)
財務省はこれまで森友関連文書14件で、約300カ所の改竄があったことを認めた。ごみの撤去費用の口裏合わせも明らかになった。国民の代表者で構成する国会にうその資料を示した事実は、民主主義の根幹を揺るがした。改竄が行われた時期に理財局長だった佐川宣寿前国税庁長官は、国会の証人喚問で「(改竄は)官邸に報告せず、理財局だけでやった」と政治家の関与を否定。経緯や指示系統は「刑事訴追を受ける恐れがある」と証言を拒否した。
ただ、命を絶った男性は自宅にメモを残していたと、一部のメディアが報じている。「上から調書を詳しく書きすぎていると言われた。書き直させられた」「勝手にやったのではなく財務省の指示があった」「このままでは自分一人の責任にされてしまう」「冷たい」
男性の妻の近況に詳しい関係者は言葉少なにこう話した。
「まだまだ普通に生活できる状況ではない」