「ノートを書くという行為には、大きな効能が二つある」
アスリートのノートでは、練習で良かった点、悪かった点を挙げ、その対策を練るのが一般的。スケートならその日の滑りをイメージして、刃の角度は、重心はどうだったか、と振り返る。篠原さんによれば、
「このとき、体の動きの指令を出す『前運動野』や『運動野』などは、競技中以上に活発になることがわかっています」
書いているだけでスキルアップのトレーニングになるということだ。これが一つ目の効能。
「内容が具体的であればあるほどいい。スキルの組み立てが頭の中に構築されるので、例えば他人の滑りを見ただけで練習の中身や背景までわかるようになります」(篠原さん)
二つ目は、考えるだけで終わるより、頭に残りやすいこと。多くの場合、選手たちがノートを書くのは就寝前。人の記憶は眠っている間に定着することが、多くの研究で証明されている。ノートに書く行為は、記憶の整理と定着に「効く」のだ。
(文中一部敬称略)
(ライター・島沢優子)
※AERA 2018年3月26日号より抜粋