ホルモンの働きをスムーズにする

 体内のさまざまな器官から分泌され、体の機能を調節しているホルモン。たんぱく質はホルモンの材料ともなっているため、たんぱく質を十分にとることでホルモンがスムーズに働き、体調が整っていく。とくにホルモンの働きの影響を受けやすいのが女性。エストロゲンとプロゲステロンという二つの女性ホルモンのバランスによって、定期的に月経やそれに伴う体調変化が起こる仕組みになっているからだ。

 ホルモンバランスが乱れると、月経前症候群や生理不順のほか、自律神経が影響を受けることで、頭痛や動悸、のぼせといった不調が起こる場合もある。さらに更年期にはホルモンバランスが乱れやすくなり、こうした症状が表れることが多くみられる。女性ホルモンの材料であるたんぱく質に加え、コレステロールも適度に補給し、ホルモン変化の影響を少しでも減らしていきたい。

 大豆や豆腐、油揚げ、厚揚げなどの大豆製品には、女性ホルモンの一つであるエストロゲンと似た働きをする「大豆イソフラボン」が豊富。低カロリーな植物性たんぱく質を補う意味でも、積極的に活用したい。また、女性ホルモンのもとになるコレステロールは肉、魚、乳製品、卵の動物性たんぱく質に豊富。カロリーが高いと敬遠しがちだが、まったくとらないとホルモンがきちんとつくられなくなる。適度にとるようにしたい。

メンタルも睡眠の質も高めてくれる

 脳内で神経伝達物質として働いている、ドーパミン、セロトニンなどのホルモンもたんぱく質からつくられている。ドーパミンは意欲や幸福感をもたらすホルモン。幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンは、精神を安定させて不安を抑える働きのほか、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料になり、眠りに導く役割も持っている。たんぱく質をきちんととることで、これらのホルモンもつくられやすくなり、ストレスに強くなったり、よく眠れるようになるなどの効果が期待できる。

 ここで注目したい成分が「トリプトファン」。大豆製品や乳製品、ナッツに含まれるトリプトファンは必須アミノ酸の一つで、セロトニンの材料。眠りに関与するメラトニンはセロトニンからつくられるため、摂取することで睡眠の改善も期待できる。動物性たんぱく質に含まれるBCAAは、トリプトファンが脳に取り込まれるのを邪魔する性質があるが、炭水化物、まぐろや鶏ささみ、鶏レバーなどに豊富なビタミンB6を一緒にとることで、その働きを抑えることができる。

(構成 生活・文化編集部 森 香織/写真 キッチンミノル)