物流業界紙編集長を経てフリーとなった横田増生さんの著書『ユニクロ潜入一年』が話題だ。前著『ユニクロ帝国の光と影』で名誉毀損だとして提訴された著者が、今度はアルバイトとして潜入ルポを敢行。人件費抑制やサービスの実態などが克明に描かれる。
「一昨日も決算会見で質問してきたところです」
横田増生さんのユニクロ・ウォッチングは継続中だ。前著『ユニクロ帝国の光と影』をめぐる裁判で勝利したにもかかわらず、3年前、横田さんはユニクロの中間決算会見への参加を断られていた。激怒した横田さんにはこの時、胸に宿るものがあったという。
さらには「ブラック企業では?」としばしば指摘されるその労働環境に対し、柳井正会長兼社長が雑誌のインタビューで「社員やアルバイトとしてうちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたいですね」と答えているのを読んだことも、今回の本につながる「決意」の引き金になった。
「じゃあアルバイトさせてもらおうじゃないか、と挑発に乗ったわけです」
潜入するために横田さんはいったん離婚し、姓を変えて、ユニクロで働き始める。
「幸いなことにウチの妻は、年賀状を書くとか定型的な振る舞いは苦手だけど、イレギュラーな出来事は大歓迎という人なんです(笑)」
1年以上の歳月をかけて3店舗に勤務した横田さんは、職業人としてまっとうに業務をこなしながら、サービス残業の横行や強引な出勤調整による人件費抑制などの事実を突き止めていく。