人は「元気だから働く」のではなく「働くから元気になる」──こうアピールするのは、高齢者に特化した人材派遣業を営む「高齢社」だ。

 00年に現在の最高顧問、上田研二さん(79)が創業。東京ガスの子会社で社長を務めていたとき、人手不足で週末も出勤を余儀なくされる現役社員たちの苦労を目の当たりにした。定年退職後の先輩たちは時間を持て余しているのに、もったいない。

「高齢者を人材として派遣すれば社会のニーズに対応できる」
 これが当たった。

 現在は60歳から83歳の916人が登録。週2、3日のペースで営業、メンテナンス、商品管理などの多様な職場で即戦力として働く。

 政府が進める「働き方改革」が高齢者の働き方(雇用契約や社会保険料など)に一律適用されると、不具合も生じかねない。緒形憲社長(68)はこう訴える。

「高齢者がもっと元気に、働きやすくなるために、制度改善の余地はまだまだあります」(編集部・渡辺豪)

AERA 2018年2月5日号より抜粋

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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