
医療も高齢化社会も抱える問題は多いが、「つながる」ことで当事者が求める環境を生み出す可能性を秘めている。
ITコンサルティング会社の元社員、岩本貴さん(46)と、妻で看護師のゆりさん(45)が二人三脚で運営する「楽患ナース」も、患者と社会をつなぐ活動が原点だ。01年、ゆりさんが参加する医療関係者らの勉強会での議論を踏まえ、貴さんが「患者会」の結成につながるホームページの開設を考案した。
地域や病名を入力すれば、登録者のメーリングリストにアクセスできる。ネットを介して患者同士をつなぐ先駆的役割を担った。ゆりさんはそこに寄せられる医療相談への対応に専念していたが、ボランティアで長く続けることは難しい。貴さんが運営を担い、07年に株式会社として楽患ナースを発足させた。
終末期患者の訪問看護ステーションや重症心身障害児の保育施設も、医療相談でニーズを把握したことから生まれた。
貴さんは振り返る。
「妻を通じて医療の世界をのぞき見て、命にかかわることの尊さに魅了されました。大きなやりがいを感じています」