米連邦公務員として10年間、米議会で国家予算の編成を担った経歴を持つ中林教授は、今も共和党関係者と交流が深い。今回の暴露本の内容は世間に衝撃を与えたが、実はワシントンのインサイダーたちの間では、うわさ程度として誰もが知っていることばかりなのだという。
「新しいことは何もない。本来なら何のインパクトもない中身で、大統領があそこまで反応するほどの内容ではないはずなのに、バノン氏もトランプ氏も対応の仕方がおかしい。逆に、もっと深い何かが隠されているのではないかと考えてしまう」
更迭後に戻っていた米右派系ニュースサイト「ブライトバート」からも会長職を追われるなど、暴露本への協力の代償を払う形となったバノン氏だが、弁明を積極的にしようとしないことも、中林教授は不思議に思っている。唯一、トランプ氏の長男ジュニア氏や、クシュナー氏のロシア疑惑への関与について触れている部分については発言を撤回した。中林教授が言う。
「大統領があれだけ反応する必要があるほど深い問題がもし隠されているとしたら、ロシア疑惑の部分かもしれないと思っている。だから、そこだけバノン氏は発言を修正した。捜査が家族に及ぶことに大統領は、すごい強迫観念がある」
(編集部・山本大輔)
※AERA 2018年1月22日号より抜粋