沖縄で米軍機による事故が頻発している。背景には、オバマ前政権時に行った国防予算の削減による、米軍の疲弊があるのではないかという見方がある。
予算削減に伴う人員削減の影響は、機体の老朽化にも波及している。米軍関係者は言う。
「機体の老朽化は海兵隊にとって慢性的な問題です。典型的なのはCH53大型輸送ヘリです」
東村高江や宜野湾市の普天間第二小で事故を起こしたCH53E大型ヘリは、イラクやアフガニスタンでの戦闘による損傷が最も激しい機体で、後継機(K=キングスタリオン)に順次更新する予定だが、予算削減などのあおりで進んでいないのが実情だ。
ロバート・ネラー米海兵隊総司令官は16年3月の時点で、すでにCH53の使用期間が長すぎるとの認識を表明。また、スティーヴン・ラダー中将(米太平洋海兵隊司令部戦略政策部長)は17年11月に米議会で、オバマ政権による国防予算抑制の結果、「海兵隊が保有しているヘリのうち飛行可能な状態にあるのは37%にすぎない」と説明している。
こうした状況下でCH53Eの運用が続けられた結果、沖縄で相次いで事故を起こしたことになる。
安倍晋三首相は、「対話よりも圧力」という日米の対北朝鮮方針が「完全に一致」している、と繰り返し強調している。だが、米国の軍事力に依存した北朝鮮への強硬姿勢は、米国に対する日本の立場を弱める要因にもつながっている。
15年1月に米国務省が公表した「地位協定に関する報告書」にはこう明記されている。
「米国は地位協定に関連する交渉では常に優位に立つため、受け入れ国が米軍の存在を必要としている事実を積極的に利用せねばならない。受け入れ国が深刻な脅威に直面し、米軍の支援が必要だと感じているときに米側の優位性は最も大きくなる」
高江でCH53Eヘリの炎上事故が起きた際、日本政府と沖縄県は、原因究明まで同型機の飛行停止を求めたが、米軍側はこれを無視して事故の7日後に飛行を再開した。その約2カ月後、CH53Eは再び沖縄で普天間第二小校庭への窓落下事故を起こしたが、6日後には今度は日本政府容認の下、同型機の飛行が再開された。