「でも、そう言っていた人たちが『お前を見ると安心するよ』とも言うんです(笑)。そういえば、よく一緒に酒を飲むのはたいてい50代より上の人が多かったりします。すぐ健康の話になるんですけどね(笑)。僕自身も居心地がいい。小栗(旬)とか同世代と飲むほうが緊張したりして」

 大人向けの作品に多く出るには、演技の面でも大人の眼鏡にかなっていなければならない。吉永小百合と共演した2015年の映画「母と暮せば」では、長崎の原爆で亡くなった医学生の役で日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した。

「これまで賞を取ってこられた方々を汚さないようにしなきゃ、と思いました。真面目に言えば、今後も映画に出続ける責任があると感じています」

 事務所には、日本映画界に欠かせない存在となった岡田准一という先輩がいる。タイプは少々違えど、彼のような方向に進んでほしいというのが、一映画ファンとしての願いだ。(朝日新聞編集委員・石飛徳樹)

AERA 2017年11月6日号