1980年代はポケベルで、90年代からは携帯電話だった。あれから20年。和を尊ぶ「つくし世代」はコミュニケーションツールを自在に操り、ネットとリアルを行き来する。
早稲田大3年の女子(21)は、同世代は「電話が苦手」という。
「声しか情報がないので、相手が何を考えているかわからない。1対1だから自分が答えないとというプレッシャーもある。電話はお店の予約をするときくらいで、使う機会がほとんどない。どう話していいかわからない、と嫌がる友人も多いです」
グループで使うLINE電話なら、大人数での会話には「自分が話さなくても、間がもつ」という安心感がある。スカイプなら相手の表情も見える。
彼女も含め、多くの大学生が圧倒的によく使うツールが、LINEだ。既読がつけば相手に読まれたとわかるし、気軽に使えるのがいい。
「テレビを観ながら、お風呂に入りながらでもできるし、会話が途切れても『用事ができたかな』『寝落ちかな』と察しがついて、気にしなくていい」
多くのグループLINEに入っているが、稼働するグループLINEは限られていて、所属している軽音サークルが主だ。ミーティング日時の調整や出欠確認など、主に連絡網として機能している。細かい議題は、直接話して決める。
時に、ざわつくこともある。
「全体LINEで、幹部同士が運営方針で言い合ったことがありました。丁寧な言葉だったけれど長文で、読めばけんかしているとわかる。当事者以外は既読をつけて返答はしませんでしたが、次にサークルで会った時に、『大丈夫だったのかな?』とざわざわしました」
全体LINEではなく、2人で話せばいいのに。メンバーの多くがそう感じたのではという。
文字のやりとりでは、相手がどう感じるかに気を配る。LINEに限らず、ツイッターやフェイスブックでもそうだ。
「自己嫌悪しているとき、自分のツイッターアカウント用に文章を打ってはみたんですが、『ひと様にお見せしたら、不快な気持ちにさせてしまう』と、投稿を思いとどまりました」