小池“総理への道” パターン(1)自公勝利(AERA 2017年10月23日号より)
小池“総理への道” パターン(1)自公勝利(AERA 2017年10月23日号より)
小池“総理への道” パターン(2)自公勝利?(AERA 2017年10月23日号より)
小池“総理への道” パターン(2)自公勝利?(AERA 2017年10月23日号より)
小池“総理への道” パターン(3)自公過半数割れ(AERA 2017年10月23日号より)
小池“総理への道” パターン(3)自公過半数割れ(AERA 2017年10月23日号より)
政治評論家・田崎史郎さんの見立て(AERA 2017年10月23日号より)
政治評論家・田崎史郎さんの見立て(AERA 2017年10月23日号より)

 急速に風がやんだ小池劇場。野党第1党は確実と見られるが、報道機関の情勢調査で伸び悩む。女性初の総理大臣へ。次なるストーリーは始まるのか。

【写真】小池“総理への道” 別パターンはこちら

 衆院選公示日の10月10日。希望の党の小池百合子代表は自身の選挙区だった、おひざ元の池袋(東京都豊島区)で第一声をあげた。

「グリーンの物をお持ちください!」

 前日には希望の党の公式ツイッター上で、そんなメッセージも交え、街頭演説会の予定を公開していた。当日、演説場所を見渡してみた。「グリーンの物」を持参する聴衆はまばら。今夏の東京都議会議員選挙のような「風圧」は感じない。

 その約2時間後、駅の反対側で自民党小泉進次郎・筆頭副幹事長が第一声をあげた。聴衆の数も小泉氏が小池氏を上回っているように見えた。

「排除発言」以降、急速に勢いを失った小池氏。朝日新聞の序盤情勢調査(10月10、11日)によれば、自民党は単独過半数を大きく上回る勢い。一方で希望の党は伸び悩み、東京都内の選挙区でも苦戦しているようだ。小池氏は出馬することもなく、「女性初の総理大臣」への道も閉ざされたか。

 本誌は「小池総理への道」で三つのシミュレーションを作成、時事通信特別解説委員で政治評論家の田崎史郎氏にも分析してもらった。

――小池さんは現在65歳。総理を狙うなら今回の衆院選がラストチャンスだという声もある。

 少なくとも小池さんは9月25日の都庁での臨時会見のときには、総理の座を射程に捉えたと感じていたはずだ。だから自らが代表になった。安倍晋三首相が年内の衆院解散を検討していることが報じられた9月17日以降、民進党の前原誠司代表が小池さんと頻繁に接触している。組織とカネはあっても人気のない民進党を吸収する合意がすでに会見時点であったから、政権選択選挙などと強気の発言ができたのだろう。

――ただ、臨時会見から4日後の「排除発言」をキッカケに勢いが収束してしまった。

 前原代表が希望の党への合流を提案した9月28日の両院議員総会を前に行われた常任幹事会では、前原さんは「全員が認められるわけではない」と説明する一方、両院議員総会では党内をまとめるために「名を捨てて実を取る。全員が行けるように頑張る」と、重点の置き方を変えている。行けない人がいるのは分かっているのに、全員が行けるという希望を与えてしまった。それは前原さんのミスだと思うし、小池さんにすると話が違うんじゃないのって。

 小池さんは「排除発言」により、「第2民進党」ではないというイメージを与えることには成功したが、戦略的に強い言葉を使ったせいで、冷たいイメージを与え、小池さんのイメージがガクンと落ちた。

――小池さんが出馬せず、首相指名候補を明らかにしないことも、党のイメージを損ねた。

 ただ、小池さんの原体験を考えれば、彼女にとっては当たり前なんですよ。小池さんが日本新党の参議院議員候補として国会議員になったのは1992年。翌93年7月の衆院選で衆院議員となり、彼女が最初に体験した政局が当選直後の非自民非共産連立政権です。細川護熙首相の佐川急便グループからの借入金処理問題で1年にも満たない短命政権に終わったが、次に生まれた羽田孜内閣は内閣不信任案を突き付けられ、ほどなく総辞職。そして総選挙も経ずに生まれたのが、自民党が対立関係にあった社会党の村山富市委員長を首相にかついだ村山政権。他党に手を突っ込んでまで政局を動かす荒業が、小池さんの原体験になっている。

――各社の情勢調査を見ても現時点で自公が過半数割れを起こし、小池さんが当初狙った政権交代が起こる可能性は極めて低い。小池さんは今後、総理への道をどのように描いていくのか。

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