大騒動の末、結局は衆院選に出なかった小池百合子・東京都知事。それでも首相就任への野心は全く消えていない。一体どこへ向かうのか。
小池マジックが正念場を迎えている。自民党を飛びだして身ひとつで挑んだ都知事選とは違い、いまの彼女にはしがらみが多すぎた。そして、そのしがらみは、彼女自身がつくったものだった──。
都政に専念すると都民ファーストの会(都ファ)代表を辞任してわずか3カ月足らずでの国政政党設立に、評価が分かれた。「安倍首相に仕掛けられた、やむにやまれぬタイミング」と理解を示す声がある一方で、「舌の根も乾かぬうちに」という批判も多かった。
結局、出馬はしなかったが、小池氏に近い関係者は、最後まで「出馬を言い出すのではないか」と冷や冷やしたという。解散は来春と想定し、「希望の塾」の新たな塾生の募集など国政進出準備も進めてきたが、急な解散で候補の調整が間に合わなかったこともある。しかし、不出馬の最大の理由は、「これまで味方にして戦ってきた世論が、今回は足枷になり、都知事としての立場を捨ててまで出馬できかった」からだ。
知事職と国政政党の代表の両立について、早稲田大学公共経営大学院教授で、元総務大臣・元鳥取県知事の片山善博さんはこう語る。
「私の経験からいって不可能です。自治体の仕事は地味だが、真面目に取り組むなら、政党をつくる暇などない。週に1、2日しか登庁しなかった石原慎太郎元知事と同様、実質的にほとんど何もやっていないということでは」
ブラックボックス化した都政の打破こそが、都議選で小池氏率いる都ファが掲げた公約だ。
ところが、その都ファから、「議会のブラックボックス化」を理由に離党する都議が現れた。音喜多駿議員は、こう指摘する。
「役員人事や代表人事が密室で行われ、言論統制や情報発信の規制もはじまった」
音喜多都議は、SNS上の発信について、幾度か役員らに呼び出され、釘を刺されたという。
上田令子都議も嘆く。
「議員の質問権や調査権を抑制したので、議会で自由な発言や質問ができなくなってしまった」