古い都政にジレンマを持ち、小池都知事誕生を応援し、その革新力に期待をかけていただけに、失望も大きかった。
「代表や役員は、知事をヨイショすることに腐心しているように見えました。知事の意向を忖度(そんたく)しすぎた結果、締め付けが生まれたのでは。都ファがこの惨状なのに、国政進出を選択する姿勢は疑問です」(音喜多都議)
いっぽうで、小池氏を評価する部分もある。
「政治家としての決断力や発想力は確かに傑物。物腰は丁寧で、言語明瞭で話しぶりもスマートです。言葉も強い。都知事選前、『私はルビコン川を渡りました、期待に応えるから信じてほしい』と言われ、グッときた。人をその気にさせる力があります」(同)
●人と違うことで成功を
政治家としての彼女の素養はどこで培われたのか。『挑戦 小池百合子伝』の著書がある作家の大下英治さんは、生い立ちと、彼女が関わった3人の政治家に鍵があると指摘する。
「勝負師的な父と進歩的な母に、人と違うことをして成功すること、自立することを教えられた。自らカイロ大学に進学し、学生時代をエジプトで過ごした。その間に中東戦争を経験し、『国は戦って守る』という考えを抱くようになった。現在の保守としての素地は、このときつくられたものでしょう」
政治家としての手腕は、細川護熙、小沢一郎、小泉純一郎の3氏に学んだ。
「3人とも、言葉の天才でもありました。細川氏からは民衆を巻き込むことを、小沢氏と小泉氏からは、敵に『守旧派』『抵抗勢力』などと名前を付けて戦い討つ姿を見せつける、劇場型の手法を学びました」(大下さん)
人を巻き込めば大きな渦が起こり、強大な敵に立ち向かい討てば、拍手喝采を得られる。実際、小池氏はこの手法で世論を味方につけ、都知事選に圧勝し、都議選でも大勝した。
「彼女は3人の才覚に惚れ、自分から近づいたと思う。小池氏が時の権力者を渡り歩いたかのように言われるが、彼女が彼らを輝かせた、というのが私の見解です」(同)