共産党との野党共闘見直しを主張する前原誠司氏が民進党の新代表に決まった。10月には三つの衆院補選が控えている。野党共闘はどうなるのか。
野党共闘が初めて試された2016年の参院選。全国32の1人区で候補者を一本化し、うち11選挙区で勝利した。各党がバラバラに候補者を擁立した13年は2勝だった。今年に入っても仙台市長選挙などで野党統一候補が勝利。旧民進党執行部では次期衆院選に向けても野党共闘が合意されていたが、共産党との共闘に否定的な前原誠司氏が新代表になり状況は一変した。野党共闘のキーマンの一人である共産党の志位和夫委員長が本誌のインタビューに応じた。
──前原新代表は共産党との共闘に否定的な姿勢を見せますが、どうお考えですか。
私たちの立場は、まったく変わりません。強調しておきたいのは、この共闘は野党だけのものではなく、民進党と共産党のものでもない。なぜ野党共闘が始まったかと言えば、15年の戦争法(安保法制)に反対する空前の市民の闘いの中で、「野党は共闘」という声が巻き起こった。それに応えて始まったのが出発点です。そういう意味では国民の共有財産だと思う。
──野党共闘には野党4党(民進、共産、自由、社民)に加え、15年に安保法反対の国会前デモに集まった学生団体「SEALDs」など、学生や学者らで結成された「市民連合」も含まれています。
安倍政権はあまりにもひどい政権です。一言で言えば、憲法を平気で壊す政権。国会に招かれた憲法学者3人すべてが憲法違反と明言しても戦争法を強行採決し、「共謀罪」法は委員会採決を省略できる中間報告という禁じ手で強行採決した。憲法53条に基づき野党が臨時国会の召集を求めたが、開かれることはない。立憲主義の回復、つまり憲法に基づく健全な政治を取り戻さなければならない。野党と市民の共闘が始まって約2年ですけど、成果をあげてきています。
●不一致は横に置く
──ただ、昨年の参院選後に行われた衆院2補選は民進党候補に一本化したものの、結果は完敗に終わった。民進党の保守系議員の中には、共産党と組むことで保守層が離れる懸念を抱くなど「共産党アレルギー」を持つ人もいます。
民進党の中で個々にいろんな意見はあるでしょう。私は党の代表者として、一つ一つコメントしないという立場できました。保守層が逃げると言うが、例えば前回の参院選では、32の1人区のうち、28の選挙区で野党統一候補の得票が4野党の比例票の合計を上回っています。