私は、どこかのタイミングで対話しなければいけないと思っています。ただ、交渉のイメージが北朝鮮と米国では違うし、ずれているから、結果的に接点が見つからない状態になっている。米国にとっては非核化交渉ですが、北朝鮮は、自分たちだけが一方的に非核化するような交渉は断じて受け入れられない。「我々のことを脅威だと思うのであれば、我々と正常な関係を結びましょう」というのが北朝鮮で、対話の前提は、あくまでも現状をそのまま認めることなのです。
●中国が仲介役になるか
そこで重要になるのは、中国が仲介役となり、米朝の接点を作り出せるかです。中国だけで無理なら、ロシアや欧州を含めてやる。北朝鮮問題について中国は、長い時間をかけて解決するしかないと思っています。米国が中国に北朝鮮への制裁強化をさせようとすればするほど、米中の対立になってしまう。米中の対立になると、中国はますます動かなくなる。北朝鮮のみならず、中国だって、米国に脅されてやるのは絶対に嫌なはずです。逆に仲介者としての協力を米国が中国に求めれば、さまざまな可能性が出ると思います。何のための対話かというところを少し曖昧にして、だけれども出口では非核化を絶対に譲らない。対話の間は北朝鮮の核ミサイル開発も中止する。そうするしか解決に向かう手段はないような気がします。この秋から冬にかけてが重要です。逆に言うと、北朝鮮からすれば、そうした状況になるまでに、やりたいことは全部やっておきたいということにもなるでしょう。
※AERA 2017年9月18日号