経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
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プロ野球もオールスターを迎えて、いよいよ折り返し。
今年もお陰様で広島カープが首位を突っ走っております。カープファンなので贔屓目に見てしまうかもしれませんが、このチーム、ビジネスにおいても本当に多くの教訓を与えてくれるのです。
今、大活躍の「タナキクマル」(1番田中広輔、2番菊池涼介、3番丸佳浩)の不動の3人は、平成元年、2年生まれの同級生という若さ(菊池は早生まれ)。サードのレギュラーを取りつつある安部友裕、昨年最多勝の野村祐輔(この2人は誕生日も同じで生まれた病院まで一緒!)も元年生まれ。要するに主力選手が27、28歳。そりゃ、夏場でもばてません。このまま突っ走る確率は大きいでしょう。
将来の主力と見込んだ野村謙二郎前監督は、早くから彼らをレギュラーに固定しました。今やゴールデングラブ級の彼らですが、12球団ワーストの失策も記録しています。なんでこんな奴らを使うのか、という非難が殺到し、野村監督無能説もたくさん出ました。しかし、マツダスタジアムにおいては、選手をなじる声は一つもなかったのです。エラーをしてもバカヤローという罵声ではなく、「がんばれ、次は大丈夫だ!」という応援の声しか飛ばない。選手もその声援で育っているから、マツダスタジアムにおける勝率は70%を超えるすごい数字になるわけです。