●ロボアドバイザー

 個別の銘柄をじっくり調べてる暇なんてない! そんな忙しいビジネスパーソン向けに、ここ1、2年台頭しているのがロボットアドバイザー(通称ロボアド)。人間に代わってコンピューターが資産運用のアドバイスや運用をしてくれるサービスだ。

 ロボアドが出す簡単な質問に答えると、運用の目的やリスク許容度などから最適なポートフォリオを自動作成してくれる。運用までしてくれる「投資一任型」と、実際の運用は顧客自身が行う「アドバイス型」がある。

 忙しい人向きの「投資一任型」の中で、サービス開始から1年足らずで預かり資産が150億円超(提携している金融機関分を含む)と急成長しているのがウェルスナビだ。

 創業したのは日・英の財務省を経て、マッキンゼー・アンド・カンパニーで機関投資家の資産運用に関わった経験を持つ柴山和久CEO。なぜコンピューターなのか。その答えはシンプルだ。

「人間の脳は資産運用には向いていないからです」

 太古の昔、食料が少しでも「減る」ことが命の危険に直結していた頃の記憶が刻み込まれているのか、人間の脳は減ることへの恐怖が異様に強いのだという。投資の大原則である「長期・積み立て・分散」を淡々と実行するのも人間は苦手らしい。

「値段に関係なく淡々と買い続けるのが最もリターンが高くなるんですが、人間は高値づかみしがち。スーパーで野菜や肉を買う時は、値段が高いと買わないのに、金融商品を買う時は過去の騰落率を見て迷った揚げ句、成績が悪い=『お買い得品』は買わず、成績がいい=すでに高くなっているものを買ってしまう。そして値段が下がると怖くなって売るので、結局損をする」

 柴山さんによれば、大原則の三つ目の「分散」は、特に日本人投資家が意識すべきポイントだ。ここで、昨年金融庁がまとめた「金融レポート」に掲載されたグラフを見てほしい。日米英の家計金融資産が1995年時点(英国は97年)を1として、過去20年でどれだけ増えたかを比較したものだ。米国は3.11倍、英国は2.27倍まで増えたのに対し、日本はわずか1.47倍。

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