アンソニー・ダニエルズは、1946年生まれのイギリス人。「スター・ウォーズ」のアニメシリーズでも、C-3POの声を務める(撮影/今村拓馬)
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3月下旬の「C-3PO ANA JET」お披露目イベントでは、R2-D2を伴って登場。C-3PO独特の口調で「私がモデルの飛行機ができて感激」と喜びを表現した(撮影/今村拓馬)

 C-3PO役として、「スター・ウォーズ」シリーズ全作に唯一出演する俳優、アンソニー・ダニエルズ。40年にわたって仮面を被り続けてきた男が、その胸の内を告白した。

 12月15日にシリーズ8作目として公開が予定されている「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」。特報予告編の公開で、早くも盛り上がっている。

 このシリーズ全作に出演している唯一の俳優が、金色に輝くドロイド「C-3PO」を演じるアンソニー・ダニエルズだ。3月下旬にANAの特別塗装機「C-3PO ANA JET」のお披露目イベントに招かれた彼に、インタビューした。

 聞けば、出演には当初、乗り気ではなかったという。

「低予算SF映画なんかに出たくなくて。『顔を隠したロボット役なんて興味ない』と、ジョージ・ルーカスに会うのを断るつもりでした」

●衣装の電池がショート

 エージェントに説得されて、母国イギリスからアメリカに渡ったのが1975年。C-3POのコンセプト画が彼に出演を決意させる。

「ラルフ・マクウォーリーの描いた絵に心が動きました。それで脚本を熟読し、C-3PO像を膨らませていきました」

 浮かび上がったのは、忠誠心が強く、行儀も面倒見もいいけれど堅苦しくて、常に不安そうなドロイド。ピンとした背筋、ギクシャクした動きで表現した。

 話し方は、ブリティッシュアクセントの英語がベースだ。

「不安だと(C-3POの声色で)声が少し上ずって、ちょっと緊迫するでしょう? あえて間違った位置に強勢を置くようにもして、エキセントリックなしゃべりにしました」

「世界一窮屈」な衣装での演技は孤独との闘いだった。視界が悪く、共演者と心を通わせるのは至難の業。相棒のR2-D2は音を出すのみで、撮影中はそれさえ聞こえなかった。それでも、「アクション!」の声がかかれば演技に没頭。衣装に装着された電池がショートしても、コンベヤーベルトを全速力で駆け回るうちに呼吸困難に陥っても、アドレナリンで乗り切った。

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