現役医師526人アンケート(AERA 2017年4月24日号より)
現役医師526人アンケート(AERA 2017年4月24日号より)
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 体がダルい。どうにも頭が重い。でもはっきりと名前が付く病気というわけではないから、病院には足が向かない。そもそも、平日の昼間に仕事を抜け出す余裕なんかあるわけない。これが、過剰労働社会ニッポンの「現実」だ。AERA 2017年4月24日号では「ダル重」を大特集。あまたある健康ビジネスに踊らされることなく、このダル重を解消するには、どうしたらいいのだろうか。

 忙しい、休めない、疲れがとれない。一億総ダル重時代に、対ダル重の最前線に立つ現役医師526人にアンケート調査を実施した。健康商材を冷静に捉える一方、その視線は体内のある器官に注がれていた。

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 仕事のピークは夕刻からだ。駅直結のクリニックには、仕事帰りの現役世代が訪れる。

 風邪やめまいを、明日までにどうにか治してほしい。そんな無茶な訴えに、ナビタスクリニック新宿(東京都)の濱木珠恵院長は、こう思うこともある。

「もう少し休めば、もう少し眠れば、改善するのでは。それができないから、いらっしゃるのでしょうけれど」

●医師の約8割がダル重

 もう少し休めれば、もう少し眠れれば──。それは自分も同じだ。平日週4日のフルタイム勤務で、朝9時半にはクリニック入りし、閉院は21時過ぎ。土日も半日ずつ出勤する。

 帰宅が遅いから、午前中はシャッキリしない。座り仕事が多く、全身に慢性的な凝り感がある。片頭痛の回数も増えた。腰の負荷を軽減する椅子に変え、片頭痛には服薬で対応する。診察の合間にストレッチをして、体をほぐす。

「体力がないとは思わないし、病気ではないが、疲れで集中力が落ちていると感じます。仕事を休むわけにはいかないので、せめてもう少しよい体調をキープしたいのですが……」

 神奈川県の総合病院に勤める救急外科医の男性(35)も、疲れが抜けきらず、万全ではない体調を自覚している。

「定時は平日8時半から17時までですが、患者さんの様子を見たり前日の採血検査の結果をチェックしたりするため、毎朝7時半には病院にいます」

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