ところが、医師らの事情は、我々とかなり違う。
医師自身が健康のために摂取しているサプリや飲料、食習慣について尋ねると、どの質問でも「なし」が半数近くを占めた。
●エビデンスがない
理由はシンプルで、「エビデンスがない」という。
石見医師は言う。
「医師はエビデンスがないものを嫌います。ここ数十年、大規模臨床試験で確かめられた医療を提供するという医療教育を受けていました。エビデンスがない、あるいは中途半端なエビデンスに対して、拒否感を示した結果に見受けられます」
家族や友人にすすめない飲料やサプリ、食習慣についても、「すすめないものはない」が多くを占めた。
こちらは少しニュアンスが違い、「害がないなら、本人の自由」ということらしい。
「エビデンスがないとは効くかもしれないわけだから、自己責任で試してみればよい。積極的にすすめることはない」(40代・内科・勤務・男性)、「プラセボ効果くらいはある」(50代・皮膚科・開業・女性)
すすめない理由として、飲料は「糖分過多」を懸念する声があがった。清涼飲料水の多くは砂糖を多く含むためだ。
サプリには、「あくまで補助的なもの。患者には『規則正しい生活をして、3食健康的な食事をとるのが理想的』と伝えている」という意見も複数あった。
「たとえば、コラーゲンは、体内でアミノ酸に分解されて再利用される。コラーゲンのまま体内で利用されることはなく、医学的に無意味」(50代・脳神経外科・勤務・男性)と、消化吸収の仕組みを指摘する声も。
1日1~2食やファスティングなどのダイエットでは、血糖値の急激な上昇を案ずる声があがった。
特定保健用食品(トクホ)や、栄養機能食品、機能性表示食品には、厳しい指摘が相次いだ。
●動機づけとおまじない
「信用していない」(50代・呼吸器内科・勤務・男性)、「商売に過ぎない」(40代・内科・勤務・男性)、「規制がゆるく、価格が高すぎる」(50代・耳鼻咽喉科・開業・男性)、「詐欺に近い」(50代・内科・勤務・男性)、「ぼったくり」(40代・精神科・勤務・男性)、「企業の売りたいものに、若干のお墨付きが出ているだけ」(40代・形成外科・勤務・女性)