そして、怒りや、憤りや、悲しみからも自由だったような気がします。きっといろんなことがあったんだと思います。なのにその怒りさえも、おもしろいことに変えてみんなに見せて、みんなが気分が悪くなるようなことではなくて、すごくおもしろかったっていう思いで劇場を出たりテレビのスイッチを切ったりする、そんな表現をする人はとてもとてもかっこいいと思います。

 僕はそういう人にいつかなりたいなと思いますし、それこそ先ほどの植木さんのお話(編集部注:贈呈式冒頭の祝辞で、南伸坊さんが、星野さんとの共通点として植木等さんに影響を受けた点を挙げた)もそうですけど、本当にまじめな人で、スーダラ節を歌うのが本当は嫌だったというお話を聞いたりしていて、でもあの歌詞は本当に人間の真理だから、堂々と歌っていいんだよとお父さんに言われて、歌うのを決意したそうで。そういうところも含めて、自分は本当はすごく明るい人間ではないけれど、楽しいものとか、おもしろいものを届けてもいいんだ、っていうふうに思わされたというか、思っていいんだというふうにしてくれた、素晴らしい人で。伊丹さんにも、植木さんにも僕は直接お会いできなかったですけど、そういう自分が受け取ったものというものは、絶対に何らかの形でつながっていくと思っていて、人は死んでも、絶対にそれをみんなが話したり、つないでいったり、自分の栄養にして何か人に話したり表現したりすることによって、遺伝子はつながっていくものだと思っていて。なんかそういうものを、遺伝子を、僕も伊丹さんからもらっているので、何か自分の表現という形で、ちゃんと自分のフィルターを通した形で、その遺伝子をつなげていけたらと思っております。

 そして今日……ほんとごめんなさい、めっちゃ長いですよね、ほんとすいません(笑)。あのですね、一応、紙に5分から10分って書いてあったんで、いいかなと思ってお話させていただきますけども(笑)。

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