私の場合は自分で選んだ出稼ぎ生活ですが、会社の命令で家族の暮らしが激変、というのは今の時代どうなんだろう、と思います。共働き世帯が多数派なのですから、どうしたって単身赴任か、配偶者の転職や休職を検討することになります。子どもの転校も。人によってはそれを数年ごとになんて、負担が大きすぎますよね。

 今はテレビ電話が普及したおかげで、朝晩家族と話せます。だけどやっぱり、細かいことは共有できない。オーストラリアに戻るとつい僻みっぽくなってしまいます。私がいなかった3週間、父子3人で仲良くやってたんでしょ、ずるいよ、なんて。本当は会えて嬉しいのに。

 家族が分かち合っているものは、気配なのかもしれません。だから寂しいときは、テレビ電話を繋ぎっぱなしにします。お互いカメラの前にいないことも。それでも足音や息遣いが聞こえて、呼べば答える状態であることは救いです。ただそこにいることが嬉しい、ってすごく幸せなこと。

 一人になって気づくこともあるんですね。この春、新天地に赴く人とその家族に、心からのエールを送ります。

AERA 2017年4月3日号

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