若手の成長株が床亜矢可(とこあやか)(22)と秦留可(はるか)(20)の姉妹だ。最終予選では姉でDFの亜矢可の積極的な守備が光れば、妹でFWの秦留可も1得点4アシストの活躍だった。父・泰則さんも元選手で、日本代表でもプレー。2人は、そのDNAを受け継いだ。

 前回のソチでは亜矢可が2ゴールと活躍したが、秦留可は最終選考でメンバーから外れた。それだけに、平昌は2人そろってという思いは強い。

「前回は家族全員で喜べない部分がありました。でも、今回の予選はみんなが試合を見にきてくれたなか2人で結果を残すことができ、2人そろって五輪へ出るという目標に大きく近づけたのかなって思います」(亜矢可)

 亜矢可は今春の全日空への就職が決まり、秦留可は法政大学3年に進学する。幼い頃からアイスホッケーを続けてきたが、何かとお金のかかる競技。姉妹そろっての活躍は家族にとっても2倍の喜びだが、その分両親への負担も2倍かけてきたと振り返る。

「スケート靴がだいたい6万~7万円。ヘルメットのほか、膝や肘など全身に着ける防具も入れるとだいたいぜんぶで20万から30万円くらい。スティックは1本3万円くらいで、それも折れたりして年間で12本くらい使います。防具類はすべて個人負担です」(秦留可)

●目標としてきた場所

 性格は真逆。姉の亜矢可はしっかり者で、妹の秦留可はどこかのんびりした雰囲気。それでも、リンクに立つと先輩たちにも負けないパワフルなプレーが目立つ。

 学校とリンクの往復は子どもの頃から慣れっこ。大学生ともなれば周囲の誘惑も増えるが、そうしたことに惑わされることもなかった。

「本当にやりたいことをやらせてもらっている。逆にアイスホッケーをやめてくださいって言われてしまったら困ってしまいますから!」(亜矢可)

 日本の世界ランキングは過去最高の7位。平昌五輪はただ出るわけではない。

「ソチでメンバーから外れたことが、この4年間の成長につながったと思います。平昌五輪は本当にいままで目標としてきた場所なので、そこで勝って、最終的にはメダルを取りたい」(秦留可)

(スポーツジャーナリスト・栗原正夫)

AERA 2017年3月27日号