●自分では決めきれない
──定番質問はしてほしいわけですね。
建設:そういう質問を大事だと思っているので、答えていないのに採用されると「補欠じゃないか」「幹部候補になれない」と悩んじゃう。マニュアルは嫌いだけどマニュアルで聞いてくれと、二律背反なんです。
IT:不思議なのは、内定を伝えると「御社に行きたいんですけど、やりきりたいんです」と言う学生が多いこと。「やりきるって何?」って聞くと、その業界で一番難しいと言われている会社まで「受けきりたい」と。
人材:あるある。「御社が第1志望です! でも8月まで待ってください」って、それ、第1志望じゃないでしょう。
金融:受験と同じ感覚なんですね。小さい頃から「将来どんな人生を送りたいか」「どんな仕事に就きたいか」と考える教育をされずに、目の前の受験で偏差値の高い学校に行く、というのを繰り返してきている。だから、就職も一番人気の会社を受けきらなきゃ、という発想になるんです。
建設:主体的な価値判断がないので、複数の内定をそろえて、親や大学の先生に決めてもらおうとする。それで「僕自身は御社に行きたいんですけど親や先生が他社を薦めるので」と内定を断ってくる。「あれ、誰の人生なの?」って思います。しかも断る口実として言ってるというより本当に自分で決めきれなくて、「迷ったんでやっぱ大学院に行きます」というのも多い。自分の勘も信用して、多分この会社がいいはず、いいことにするように頑張ろうという意識は希薄ですね。
●親の言うことはきくな
──就活も、変わらなければいけませんね。
IT:乱暴かもしれないけど、出口の部分、つまりもっと簡単に会社が社員を解雇できるようにしないとダメじゃないかとさえ思います。学生も「就職したら一生」の前提だと慎重になるし、嘘でも盛ってでもなんとか入ってやろう、となる。企業側もヘンなやつを採って辞めさせられないと大変だし、確実に稼いでくれるやつを採れということになって、化かし合いになる。