ある関係者は朴氏が到着する前、私邸の中をのぞいたという。部屋にはテレビが一つ。家具もぽつんと置かれているだけ。
「私邸はとても寒かった」
とその人物は言う。
大統領の職とともに、朴氏が失ったものがもう一つある。「不逮捕特権」だ。一連の事件で朴政権の閣僚や高官、サムスン電子副会長ら計39人が起訴されているが、その中で、収賄など13件で朴氏の「共謀」が認定された。そして、21日午前9時半、朴氏は検察に出頭するよう求められている。司法関係者は言う。
「前代未聞の事件。朴氏の起訴は間違いない」
●日本からのアプローチ
朴氏に対する罷免宣告は大統領選への号砲でもあった。
次の大統領は誰か。韓国で誰に聞いても答えは「文在寅(ムンジェイン)」、最大野党「共に民主党」の前代表だ。
もちろん「ダイナミックコリア」という変数はあるが、世論調査でも文氏の強さは群を抜く。
罷免直後の3月11~12日に聯合ニュースとテレビ局KBSが共同で実施した世論調査によると、文氏の支持率は29.9%。文氏と同じ「共に民主党」に所属する安熙正(アンヒジョン)忠清南道知事が、10ポイント以上引き離され17%で続く。3位は無所属で与党から擁立の声が上がっていた黄教安(ファンギョアン)首相の9.1%だ。
「共に民主党」は今後、予備選を通じて候補を決めるが、文氏が選ばれる可能性が極めて高い。それを踏まえれば、「1強多弱」だ。
文大統領になったとしたら、日韓関係はどうなるのか。