●府の対応も不可解
自民党参院議員(兵庫県選出)の鴻池祥肇元防災担当相は3月1日に会見し、14年4月ごろに議員会館事務所を訪ねてきた籠池理事長夫妻から「紙に入った物」を差し出され、「これでお願いします」と言われたことを明らかにした。鴻池氏は受け取らなかったと明言する一方、「一瞬で金だとわかった」と話したが、中身が現金かどうかは確かめなかったという。
これについて籠池理事長は「渡そうとしたのは金銭ではなく商品券」と弁明しているが、事実であれば刑事上も問題はないのか気にかかる。
鴻池氏の事務所側は口利きを否定するが、同事務所が作成した「陳情整理報告書」には、結果的に学園側の要求が次々に実現していく経過が記されている。
籠池理事長や国との接触は13年8月~16年3月の2年半で25回。理事長は設置認可と賃借をめぐって「鶏と卵の話。何とかしてや」などと依頼。国から提示された4千万円の年間賃料の減額を「働きかけてほしい」と要求し、契約では年額2730万円となった。理事長と国の交渉を仲介した事務所に、財務局の担当者から「前向きにやって行きます」との回答も。
森友学園の「政界工作」は鴻池氏に対してのみ行われたのか。大阪ではこんな声も聞かれる。
「大阪では自民党は党中央とぎくしゃくしていて、安倍政権と太いパイプでつながっているのは地域政党の大阪維新の会です。そのトップは松井一郎府知事です」(地元議員)
大阪府の対応にも不可解な点が浮上している。森友学園の小学校の設置認可申請書を審議する府の私学審議会では、委員から否定的な意見が相次いだが、定期借地契約前の15年1月27日に「認可適当」と答申。2週間後、財務局が事務局を務める国有財産近畿地方審議会は定期借地契約を「了承」した。
こうした一連の流れを踏まえ、会計検査院の河戸光彦院長は3月2日、検査に着手したことを明らかにした。