アエラにて好評連載中の「ニッポンの課長」。
現場を駆けずりまわって、マネジメントもやる。部下と上司の間に立って、仕事をやりとげる。それが「課長」だ。
あの企業の課長はどんな現場で、何に取り組んでいるのか。彼らの現場を取材をした。
今回はJ-WAVEの「ニッポンの課長」を紹介する。
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■J-WAVE 営業局 営業2部 主任 手塚渉(40)
1988年の開局以来、オシャレな音楽番組で首都圏にその名を響かせてきたFMラジオ局J-WAVE。「J-POP」というジャンルの生みの親とも言われており、リスナーには多くの音楽好きを抱える。手塚渉もその一人だった。
中学時代からAMラジオを聴き始め、洋楽にハマって高校でFMへと移っていった。J-WAVEが相棒になったのはその頃からだ。
「ラジオの魅力はナビゲーターとの距離が近いことと、音楽との『偶然の出合い』です」
かけていた番組で偶然、出合った曲が、様々なジャンルの音楽に触れるきっかけになる。自然と聴く音楽の幅も広がっていった。
「本か音楽の近くで働きたい」という希望がかない、早稲田大学第一文学部を卒業した99年に入社。スポンサーを探す営業担当を、内勤で長らくサポートした。2011年に編成部へ移り、番組の垣根を越えての企画を立てるなど、営業と制作の橋渡し役に。今年3月、営業部に戻った。2カ所の経験で広がった仕事の視野を、法人の広告営業に生かす。
いま注目しているのは、「タイムフリー」というサービス。スマートフォンやパソコンでラジオが聴けるアプリradiko(ラジコ)上で10月11日から、過去1週間分の番組を配信、その音声をツイッターなどでシェアできるようになるのだ。
深夜番組は「眠くて起きていられない……」という人も多い中、新サービスで深夜番組を聴く人が増えれば、広告主の注目を集め、番組もより活性化されるかもしれない。
「これはラジオ界の変革です。リスナーだけではなく広告主にも新しい価値を提供できるようになります」
イベントなどでの出勤がない休日は、家で読書や音楽を聴いたり、趣味のエレキギターを弾いたりして過ごす。娘の中学受験も終わり、一息ついた。かつてファンだった横浜DeNAベイスターズの好調に刺激され、観戦を再開しようかと考えるこのごろだ。
(文中敬称略)
(編集部・小野ヒデコ)
※AERA 2016年10月24日号