年末年始に実家に帰省して、親の老いを感じた人も多かったのではないだろうか。両親の介護や実家の管理、財産の処分、姑問題など、そろそろ考えてみませんか。AERA 2017年1月23日号では「家族問題」を大特集。新田恵利さんに、「介護の準備と秘訣」について話を聞いた。
* * *
もともと骨粗しょう症だった母が、2014年9月に背骨を圧迫骨折したことがきっかけで介護生活が始まりました。それまで自分の親が「寝たきり」になるなんて頭の隅にもありませんでした。最初は現実を受け入れるので精一杯で……。心に余裕がなく、やらないといけないことがたくさんあったので、悲しさなどは感じませんでした。
まず頼ったのは「地域包括支援センター」でした。以前から、市役所で目にしていましたが、電話をしたところ、翌日には介護用ベッドを借りられることになりました。担当のケアマネジャーがつき、自治体に申請をすると、車いすやベッドを月額数百円からレンタルできます。1週間後、少し落ち着き、母の洋服をたたんでいた時に、本当に寝たきりになるかもしれないし、もしかしたら来年まで生きられないかもしれないと思うと、涙が止まらなかったですね。
●準備はしすぎてもいい
ご両親の通っている病院や病気、担当医を把握しておくことをお勧めします。いざ入院となった時、情報共有ができていると、素早くかつ的確に対応できます。母が寝たきりになった原因は、最初の病院選びでした。そこは、施設に行くための待機病院だったため一切治療をしない所だったんですね。リハビリもあまり積極的ではなく、寝たきりになってしまった。骨折、脳梗塞などの症状ごとに、近くの病院を把握しておくと、寝たきりのリスクは減ると思います。
病気のことも聞いておいたほうがいいです。親は子どもに心配かけないようにと、「心臓がちょっとね」などと言って病状をはっきり言わないと思うんです。でも、それではいざという時に力になりきれません。
「テレビで見た」「雑誌の特集を読んだ」というのをきっかけに話してみるといいかもしれません。親が若ければ若いほど、「ずっと先の話だけどさ」と笑顔で言ってね。「お母さんと同じで『ちょっと心臓が』って言っていた友達の親が亡くなっちゃったよ」って嘘も方便で、「だから心配なの」って言って。一緒に病院に行くのもいいですね。病院の待ち時間で話ができますから。