大学が、世間と隔離された「象牙の塔」と言われたのはまさに「今は昔」。国からの補助金も削られ、若年人口も減少する中、自ら「稼ぐ」ことなしに生き残りを図れない傾向が強まっている。働く環境の悪化に苦しむ教職員。経営難の地方私大の中には「ウルトラC」の離れ業で大逆転を狙うところも出てきた。そんな大学の最新事情を12月19日号のAERAが「大学とカネ」という切り口で特集した。その中から、2020年度から導入される、新テストについて紹介する。
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新テストは現在の大学入試センター試験に代わって、2020年度から導入される。いまの中学2年生が最初の受験生となる。
記述式の導入は、文部科学省の「高大接続システム改革会議」が今年3月にまとめた最終報告に盛り込まれた。
しかし受験者50万人分の採点には時間がかかることから、試験の実施時期や出題・採点方法をめぐって議論が百出。現在は、11月に文科省が示した案を軸に検討が進められている。
文科省案では、国語の記述式は難度の異なる2種類。(1)は解答文字数が80字を超える中・高難度の問題で、センターが提供する採点基準に基づき各大学が採点する。(2)は80字以下を1問、もしくは40字程度を2問という中難度の問題で、センターが段階的に評価し各大学に示す。
これに対して、国立大学協会は12月8日、国立大としての考え方を公表。文系理系を問わず全受験生に、国語の短文と、何らかの科目についての長文の2種類の記述を課すとした。
具体的には、短文形式については文科省案の(2)を、私大を含め多くの大学が利用しやすいとして評価。ただし、質の保証や採点の公正性担保などについてさらに検討が必要とし、問題例や採点基準を早期に示すよう求めた。
長文の記述式については、新テストで課すのではなく各大学の2次試験で実施する。問題作成は、各大学が独自に行い、国語以外の理科や歴史などでもよい。ただし、人員不足などで独自の問題作成が難しい大学は複数校で共通問題を作ることや、当面の間は文科省案の(1)を活用する案も示した。文科省は17年度初めに方針を決定する。(編集部・石臥薫子)
※AERA 2016年12月19日号