18歳人口と大学入学者数の推移(AERA 2016年12月19日号より)
18歳人口と大学入学者数の推移(AERA 2016年12月19日号より)
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国からの交付金が減り、自分で稼ぐ国立大学(AERA 2016年12月19日号より)
国からの交付金が減り、自分で稼ぐ国立大学(AERA 2016年12月19日号より)
国立大学の入学定員はこう変わる(AERA 2016年12月19日号より)
国立大学の入学定員はこう変わる(AERA 2016年12月19日号より)
国立大学が持つベンチャーキャピタル(AERA 2016年12月19日号より)
国立大学が持つベンチャーキャピタル(AERA 2016年12月19日号より)

 大学が、世間と隔離された「象牙の塔」と言われたのはまさに「今は昔」。国からの補助金も削られ、若年人口も減少する中、自ら「稼ぐ」ことなしに生き残りを図れない傾向が強まっている。働く環境の悪化に苦しむ教職員。経営難の地方私大の中には「ウルトラC」の離れ業で大逆転を狙うところも出てきた。そんな大学の最新事情を12月19日号のAERAが「大学とカネ」という切り口で特集。政府がもっと教育投資を、という内外の声ももっともだが、財政事情を考えるとあまり期待はできないだろう。大学に打つ手は、まだあるのか。国立大学の経営について取材した記事を紹介する。

*  *  *

 11月下旬、東京大学本郷キャンパス内の建物の一室。企業と東大内の研究者が集まり、ワークショップが開かれた。

 まず、自身の研究を発表。その後、消費者のニーズをみんなが考えて発表し、それぞれの持つ技術を使ったプロダクトやサービスを話し合った。

 このワークショップを主催したのは、東大の産学協創推進本部。2004年の国立大学の法人化以降、10年以上にわたり研究成果の特許取得や、大学発ベンチャーの支援、大学研究者と企業との共同研究の支援に取り組んできた。

 だが、最近になって大きな変化を感じていると、同本部の各務茂夫教授は言う。

「ここ2~3年で、学内外からの産学連携の問い合わせが急増しているのです。最近では、東大内の研究者と学生からは年間100件ほど起業相談が、外部の企業からは毎日のように共同研究などの問い合わせがあります」

 同本部の約10人のスタッフでこなせる仕事には限りがある。これまではほぼ無料で相談に乗っていたが、増え続ける相談に、対応が難しくなってきた。

「大学は今、自らのバリューを再定義する段階にあります。これまでは、本来なら得ている相応の対価を得ていませんでした。価値のある仕事には、当然フィーがかかります」(各務教授)

●年1千万円の契約も

 そこで、今年春から新しい試みを始めた。同本部が主体となって、相談のあった企業に対して、東大内の研究者との共同研究をコーディネートしたり、コンサルティングしたりする、対価を伴うサービスを始めたのだ。

 その内容はこうだ。クライアントの企業に対して、産学連携をコーディネートできる同本部のスタッフが担当につく。企業からの相談を受け、そのニーズに合った学内の研究者との共同研究をアレンジ。ワークショップなどを開催することもある。これまでに、年間約1千万円での契約などがすでに数件成立しているという。

 その一つが、健康食品や化粧品、市販薬の製造・販売を手掛ける東洋新薬(福岡市)だ。同社は今年10月、東大と連携協定を結んだ。同本部が学内で最適な研究者をマッチングして共同研究をセッティングする。すでに五つのテーマの共同研究を進める計画だという。

 自ら「稼ぐ」大学になれ──。

 国立大が法人化され、6年ごとに作られる中期経営計画は今年から3期目が始まり、自ら「稼ぐ」ための大学経営がより求められるようになってきている。

 影響が大きいのが、経営の基盤的な資金源である運営費交付金の削減だ。国立大など90法人の経常収益は、法人化された04年度には全体の47%を運営費交付金が占めた。ところが、13年度にはその割合が34%にまで低下。毎年1%のペースで削減が続き、今年度までに約1割に相当する1470億円が減ったのだ。

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