ニューヨーク・マンハッタン5番街にそびえ立つ58階建ての超高層ビル、トランプ・タワー。マンハッタンのビル群が一望でき、24金や大理石、高級な調度品に囲まれた最上階3フロアが、トランプ氏の豪邸だ。ここで次期大統領として最初の仕事である閣僚人事を進めている。
ワシントンのホワイトハウスに近いビル内のフロアを貸し切った政権移行チームが人事案を推薦してくる。トランプ氏は15日、ツイッターに、「人事プロセスは極めて組織的に進んでいる。ファイナリストを知るのは私だけだ」と書き、決定権は自分にあることを強調した。
●人事にはバランス考慮
米国の報道によると、財務長官に元ゴールドマン・サックス幹部のスティーブン・ムニューチン氏、商務長官には著名投資家で知日派でもあるウィルバー・ロス氏が起用される見通し。ともにウォール街出身者で、陣営の選対本部で重責を担った。
国務長官には、イラク戦争に賛成したネオコン(新保守主義)のジョン・ボルトン元国連大使を共和党が推すが、トランプ人脈では数少ない政治家のルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が有力視されている。国防長官にはトム・コットン氏やジェフ・セッションズ氏ら共和党きってのタカ派上院議員2人のほか複数の候補が。女性登用といったサプライズの可能性を示唆する報道もある。
ホワイトハウスの要職である大統領首席補佐官に共和党全国委員会のラインス・プリーバス委員長を起用するなど、与党との関係を考慮しつつ選挙での論功行賞も忘れない。比較的バランスを考慮した人事となった。
それでもやはりトランプ氏。「家族しか信頼しない」と公言する通り、連邦法が禁じる身内の政府機関での登用をにおわせる。政権移行チームには、溺愛(できあい)する長女イバンカ氏やその夫で「やり手実業家」のジャレッド・クシュナー氏ら身内4人を加えた。選挙参謀として活躍したクシュナー氏は特に影響力を発揮。閣僚人事に口を出し、移行チーム内の「内紛」と言われる混乱の原因になった。それでもトランプ氏は、ホワイトハウスに彼のポストを設けようと、解釈でなんとかならないか連邦法とにらめっこしているという。
●「胸襟開いた」安倍首相