テレビ番組をつくる際、その実務のほとんどを担当するのが下請け会社。そこに所属する人々の話を聞けば、テレビ界の「本当の今」が浮かび上がってくる (※写真はイメージ)
テレビ番組をつくる際、その実務のほとんどを担当するのが下請け会社。そこに所属する人々の話を聞けば、テレビ界の「本当の今」が浮かび上がってくる (※写真はイメージ)

 番組制作の実務を仕切るディレクター。テレビ局の下請け会社所属の5人が「告発」する、いまのテレビ業界の内幕とは──。

■匿名座談会参加者
Aさん(男性・30代前半/バラエティー・情報番組制作会社ディレクター)
Bさん(男性・20代後半/バラエティー・情報番組制作会社ディレクター)
Cさん(女性・30代前半/報道・ドキュメンタリー番組制作会社ディレクター)
Dさん(男性・40代前半/報道・ドキュメンタリー番組制作会社ディレクター)
Eさん(男性・40代後半/報道・ドキュメンタリー番組制作会社ディレクター)

*  *  *

Aさん:違法な長時間労働をさせたとして電通に強制捜査が入ったけど、ひとごとではないですよね。私、2カ月休んでないです……。年間で休めるのは10日くらいかな。

Bさん:私も完全に休めるのは、月に1日くらい。毎日朝9時か10時に出社して、終わるのが翌日の3時なんて珍しくない。

Aさん:ここ2週間、二つの番組のロケや会議が重なって、毎日1時間ぐらいしか寝てない。2週間前に着替えをつめたキャリーバッグを持って出社して、仮眠室で寝たら起きられないから、机で寝る毎日。こうしたことも年に3、4回はある。

Bさん:でも、この世界はこんなものだと思っています。テレビ番組を制作しているので当然と言えば当然ですが、タレントさんと間近で会えたり、ロケでいろんな場所に行けたりしますから。何より、好きでやっているという意識が強いですね。

Aさん:だけど、いまの20代は入ってきても半分は3カ月以内に辞めてしまう。

●いい番組作ろう 意欲ない若手

Bさん:本当にそう。つい先日もうちの若手が「土日が休めず、友達と遊べない」という理由で辞めました。私が入社した頃は、先輩から殴られることも珍しくなかった。だけどいまは、若手を辞めさせないように、どこの制作会社も若手への対応が優しくなっていると思うのですが……。

Aさん:うちの会社では、電通の事件を受けて「ADは週1日休ませろ」という指示が出たよ。ディレクターは自己管理しろということでしたが……。

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